MAY 8, 2004 「フェルメールを語る」
東京都美術館で開催中の
『フェルメール「画家のアトリエ」栄光のオランダ・フランドル絵画展』
を見に行った。
表題作、「画家のアトリエ」は日本初公開らしい。土曜日なので込み合っているかと思ったが、午後5時頃に入館したので、空いていた。
フェルメールは、ロンドンのナショナル・ギャラリーと、パリのルーブルで数枚見た。
「数枚」などと曖昧に書いたのも、実はあまりフェルメールを意識せずに見学していたので、
それと気付かなかったものもあるからだ。アルファベット表記が日本語とかけ離れたVermeerであったせいもあるだろう…。
確かに見た記憶のあるものを紹介しよう。
まず、ナショナルギャラリーは2作品所蔵しているらしいが、私が覚えているのは、
「ヴァージナルの前に立つ女」(A Young Woman Standing at a Virginal)
ヴァージナルという鍵盤楽器の前に、豊満な女性が立っていて、こちらを向いて微笑んでいる絵。英語の題名は若い女性ということになっているが、私には、オバサマにしか見えなかった…。割と小さくて薄暗い個室にさりげなく展示されている。
窓のある一室にモデルがたたずんでいるといった、フェルメールとしては典型的な構図なのではないだろうか。
ルーブルにも2作品ある。
「レースを編む女」(The Lacemaker)と、「天文学者」(The Astronomer)である。
これまたさりげなく展示してあるので、もし「レースを編む女」の前に人だかりが出来ていなかったら、見逃していたかもしれない。
「レースを編む女」は、格別小さな作品。ポストカードくらいのサイズしかないように思えるほど小さい。(実際は、24×21cm)
しかし、小さいながらも名作として名高いだけあって、見応えのある素晴らしい作品だった。
「天文学者」のほうは、全体の色調が暗い。そして、珍しく男性モデルである。なんだかファンタジーのような可愛らしい作品に思えた。
さて、今回の美術展に話を戻そう。
はっきりいってしまえば、少々期待はずれな展覧会であった。オランダ・フランドル地方の作家の作品が並んでいるのだが、どうも「おぉ」と思える作品が少なかった。
ただし、展覧会の最後を飾る「画家のアトリエ」は、本当に素晴らしかった。どうしてもフェルメールの作品はサイズが小さいイメージがあったのだが、この作品は結構大きい。(120×100cm)
フェルメール自身、生涯手元から放さなかったほど愛着を持っていたらしい。当時としても古く見えたという装束を身にまとった、画面右の画家は、作家自身であると言われている。この衣装がすごく可愛い。ワンピースのような黒い服は背中が縞になっていて、赤いタイツをはいている。床の白と黒のタイルとあいまって、とってもお洒落だ。
売店では、輸入物のフェルメール作品のポストカードも売っていた。その中に、上で述べた3作品も含まれていて、見たときの事を懐かしく思い出された。