『歓楽通り』
Rue des Plaisirs ||||| S t o r y |||||
パリの娼館で生まれた娼婦の息子プチ・ルイ(パトリック・ティムシット)。弟のように可愛がってくれる娼婦たちの世話をしながら暮らしている。そんな彼にはある夢があった。それは一生かけてひとりの女性の世話をすること。 ||||| R e v i e w |||||
純愛映画。ただ、「純文学」の定義さえはっきりと分からない私にとっては、「純愛」とはどんな恋愛を指すのがいまいち分からない。ちなみに、大辞林によれば、「邪心のない、ひたむきな愛」をいうらしい。 金も仕事もないディミトリに、どんどんはまってゆくマリオン。毎日マットレスを交換するほどに仕事に精を出し、娼婦仲間から心配される。それは、恋した女性の悲しい性なのだった。ディミトリもまた、マリオンの魅力にとりつかれていた。しかし、彼は、マリオンが働いてプレゼントした時計をも、ギャンブルで費消してしまうような男だった。プチ・ルイは「はずれくじ」だと嘆く。 ディミトリが二人組みの男に追われていて、マリオンと映画館に逃げ込む場面は、さながら「勝手にしやがれ」のワンシーンのようである。 こんな男なのに、”運命の男”だと信じて恋い慕うマリオンの姿が悲しい。だが、もはや誰も彼女をとめることはできない。 プチ・ルイにとっての”運命の女”マリオン。彼はただ、彼女の幸せだけを願って生きていた。 無償の愛は、美しくも儚い。プチ・ルイのできることは、マリオンの肩を優しく揉み、ドレスの背中のボタンを締めてあげるくらいだ。だが、その瞬間、ふたりだけのゆったりとした時間が流れ、きっと”運命”の喜びを噛みしめているのだろう。映像の美しさにうっとりする。 ディミトリとともに、堕ちていくかとも思われたが、マリオンは歌手として成功を収める。ABC劇場の専属歌手となったマリオンは、ついにレコードを出せるまでになった。 そんなレコードをかけながら、川辺でくつろぐ、マリオン、ディミトリ、プチ・ルイの三人に、思いがけない悲劇が訪れるのだった。 「幸せ」とは何か。それは、人それぞれに違うものだろう。この映画の登場人物は、何が「幸せ」なのかを問い続ける。 プチ・ルイの愛は、一見報われないようでもあるが、彼にとっては、”運命の女”の傍で世話をし続けることを許されていることで、報われているのだろう。即物的な私には程遠い世界・・・。
あまりにも悲しすぎる結末だが、なぜだか幸福感は残る映画である。
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