第1回 法律の旅
The Royal Courts of Justice 王立裁判所
私は法学部生である。だから、イギリスの裁判制度に興味があり、是非裁判傍聴したいと思っていた。大使館にメールした所、開いている時間なら自由に見学できるとのことだったので、ロンドンにある二つの大きな裁判所に訪問することにした。その第1回目である。
本当は、裁判所と共にLincoln's Innなどの法学院も訪れるツアーにする予定であったが、語学学校で同じクラスのアサコさんが、「私も行ってみたい!」と興味を示されたので、ツアーは取りやめて、一緒に王立裁判所見学に行くことにした。
ゴシック様式の教会のように美しい建物だが、撮影禁止なので、写真が殆ど見せられなくて申し訳ない。
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[Address] Strand London WC2A2LL
[Opening Times] Open all year, Mon-Fri, 0900-1630. Closed statutory days.
Tel : (020) 7947 6000
Fax : (020) 7947 6622
Web : www.courtservice.gov.uk
[Access] Tube : Temple or Holborn
[map] 参考 |
[ TIPS ]
- 入場無料
- カメラ以外の荷物の持ち込みはOK。
カメラは、入口付近の売店に預ける。その際に50pかかる。(我々は、2人一緒の箱に入れてもらったので、二人合わせて50pで良かった。)
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カメラを預けてから、荷物検査のベルトコンベアに荷物を通す。私は、電子辞書がひっかかったが、見せると「これならOKだ」とニッコリして返してくれた。アサコさんは、携帯電話が引っかかるが、これも電源をOFFにすればOK。
受付嬢に、「裁判見たいんだけど・・・」と言うと、「どんな裁判が見たいの?」と言われて困る。「何でも良い」と答えると、受付の後ろにあるボードを見て見たい裁判を見つけろと言われ、また、2階は自由にまわれるわよと言われたので、とりあえず2階に上がることにした。(ボードの掲示を見てもいまいち分からなかったからだ・・・)
The Royal Courts of Justiceはバカでかい。受付でもらったパンフレットの地図を頼りに歩き回った。
廊下には、分厚いファイルを抱えた黒ガウン姿の人が忙しそうに行き来していた。法廷のドアについているガラス窓から中をのぞいて、裁判をしている部屋におそるおそる入ってみた。廊下側のドアを開けると、小さな空間があり、そこから、関係者用と傍聴席用の扉2つに分かれている。右手の傍聴席用の扉("Public"と張り紙がしてある)を静かに開け、数段階段を上がって長椅子に座った。
中では、裁判官とバリスター(法廷弁護士)らしき人が、すごい勢いで喋っていた。両者の位置する高さが、日本の法廷よりも差があるように感じたのは、権威的な内装のせいかもしれない。壁中に、とても参照するとも思えないような古くて分厚い本が並んでいる。また、裁判官の背後には、大きな英国の紋章のレリーフがかかっていた。
彼らは、期待していたようなカツラは被っておらず、裁判官でさえ普通のスーツ姿で、日本のような黒衣もまとっていなかった。会社のお金に関する裁判のようであった。裁判官とバリスター以外は、書記官が2人ほどいる位で、極めて小規模な裁判であった。
Courtを出て、また裁判所内をうろうろしていると、カツラやガウンなどが展示してあるホールに出た。薄暗くて少し怖い。
そこを見学してからまた歩いていると、今度はちゃんと伝統にのっとったカツラを被っての裁判をしているCourtを見つけたので、入った。
3人が白いカツラを被り、リボン付きのシャツに黒いガウンを羽織っていた。裁判官のカツラはぴったりしていたが、あとの二人はちょこんと乗せた感じで、下の髪が見えている。(後で調べた所、カツラの長さが長いほど偉い人らしい・・・)
裁判官と同じ高さの右端の席に、被告らしき女性がいた。彼女と検事らしき人がしきりに話しをしていた。(イギリスの裁判制度に詳しくないので、「らしき」ばかりでごめんなさい)最初に入った裁判とは違って、裁判官は殆ど口を挟まないで黙っている。会社の金を横領したという事件のようであった。
Courtの内装は先程と少し違っていた。写真が撮れないので、パンフレットの裏に法廷の様子をスケッチした。
結構面白い裁判であったので、最初より長居していたら、いつのまにか4時近くになっていたので、急いで外に出た。カメラを預けた売店が、4時には閉まってしまうのだ!出口を探すのに少々迷ったが、走ったおかげでなんとか2分前には売店に着いた・・・・が、なんと閉まっている!!あわてて、ガラスをノックすると、中には人がいて、無事カメラを返してもらうことができた。やはり容赦のない国である・・・。
裁判所の向かい側にある、紅茶で有名なお店TWININGSに寄ってから帰った。
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この後、レスター・スクエアまで帰ってきたら、たまたま"Along Came Polly"のプレミア試写会が行われる日で、運良く米国のシットコム『フレンズ』で有名なブラッド・ピットの奥さんJENNIFER ANISTONとコメディアンのBEN STILLERを間近で見ることができた!
貴重な体験ができた一日だった。
バリスター ・・・・・・法廷弁護士。ソリシターが作成した書面に基づいて裁判を行う。
ソリシター ・・・・・・事務弁護士。法廷外の法律事務を行う。
王立裁判所は、民事関係の裁判が行われている。イングランドとウェールズの最高法院。
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